ヴェネツィア国際映画祭で公開されて以来大絶賛され、映画賞を総なめした映画『ラ・ラ・ランド』。
本編を観る前は勝手なイメージで能天気な作品だと思い込んでいましたが、実際に見てみると「夢と現実」という普遍的なテーマを軸にかっこいいジャズの音色、濃淡のある映像美、そしてちょっぴり切ないラストシーンと思った以上に惹きこまれる作品でした。
映画『ラ・ラ・ランド』を観れる動画配信サービス(ビデオ・オン・デマンド)一覧
『ラ・ラ・ランド』を鑑賞できる動画配信サービスの一覧です。
hulu、U-NEXT、dTV、FOD、Paravi、ビデオマーケット(VM)、Amazonプライム・ビデオ、Netflixそれぞれ動画視聴可能なものに印をつけてあります。
◎は見放題、〇はPPV(ペイ・パー・ビュー)です。
見放題は月額料金だけで好きなだけ視聴ができます。
PPVは月額料金とは別に視聴作品ごとに料金が必要で、期間限定のレンタルです。
作品名 | ラ・ラ・ランド La La Land |
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公開日 | 2017年2月24日 |
配給 | ギャガ/ポニーキャニオン |
監督 | デミアン・チャゼル |
主演 | ライアン・ゴズリング エマ・ストーン |
hulu | |
U-NEXT | 〇540円 |
dTV | 〇標準432円/HD540円 |
FOD | 〇500円 |
Paravi | |
VM | 〇432円 |
Amazon | 〇400円 |
Netflix |
2018年7月15日現在の情報です。
配信状況が変わっていることもありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
『ラ・ラ・ランド』の見どころと感想
『ラ・ラ・ランド』はとにかく評価の高い映画です。
圧巻はアカデミー賞での14部門ノミネート。
これはタイタニックに並ぶものすごい記録です。
監督はデミアン・チャゼル。
決して実績のある有名監督ではなく、『ラ・ラ・ランド』でようやく3作目の映画という若手で無名の監督です。
『ラ・ラ・ランド』の構想は以前から持っていましたが何の実績もない若手監督に出資をしてくれる人もおらず、ずっと温めていたそうです。
チャゼル監督の名が映画界で注目されるようになったのが前作の『セッション』。
この映画の好評によっていよいよ『ラ・ラ・ランド』の制作が本格化したわけです。
主演はエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。
エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』のヒロイン役で注目された実力派女優で『ラ・ラ・ランド』の大ヒットにより名実ともにトップ女優として今ハリウッドで最も旬な女優さんです。
美人という感じではないんですが愛嬌のあるかわいらしい演技を見せてくれます。
今更どうでもいいトリビアですが、もともと『ラ・ラ・ランド』のヒロインはエマはエマでも「エマ・ワトソン」の予定だったそうです。
『ハリー・ポッター』のハーマイオニーでおなじみですね。
けれどもエマ・ワトソンは『美女と野獣』の出演があったため調整がつかなかったとのことです。
ライアン・ゴズリングは12歳のデビューから常に第一線で活躍してきたカナダ人俳優です。
幅広い役をこなす演技力で様々な賞も受賞している実力派にしてイケメンです。
『ラ・ラ・ランド』ではジャズピアニストという役柄ですが、なんと劇中のピアノの演奏はすべてライアン自身が弾いています。
3か月猛特訓したということですが、商業作品として公開される演奏をしてしまうなんてすごいですね。
『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画ですが、普通のミュージカルに比べてジャズやピアノの演奏シーンが良いアクセントになっていると感じます。
舞台はロサンゼルス・ハリウッド。
ロスの街並みがいい雰囲気を出しています。
エマ・ストーンが演じるミアが目指しているのはハリウッド女優。
ワーナーブラザースの撮影スタジオのカフェでバイトしながらオーディションを受けまくっていますがいつも惨敗しています。
ライアン・ゴズリング扮するセバスチャンはジャズピアニスト。
伝統的なジャズを敬愛し、自分のジャズバーを開店するという夢を持っています。
夢を持つ二人が惹かれあって、共に夢に向かって挫折しながらも進んでいこうとする物語です。
話の筋としてはよくある王道的なストーリーです。
だから最初は「どうせ”辛いこともあったけど努力が報われて夢をつかみました!チャンチャン!!”っていう話で、歌と踊りで楽しくきれいに見せるだけでしょ」て斜に構えてみてたんです。
まあ大まかに言えばその通りなんですが、でも実際に見てみるとすごく好感が持てる映画だったんですね。
一つはキャストの演技がリアルで噓くさくなかったこと。
そしてミュージカルと地のシーンのバランスが絶妙だったこと。
個人的にはミュージカル映画は得意じゃなくて「ここで歌ったり踊ったりする意味はなに?」と疑問が出てきて途中で観るのを辞めちゃうことがちょいちょいあるんです。
けれども『ラ・ラ・ランド』ではミュージカルへの入り方がすごく自然で登場人物たちの心象を上手に表現できているように感じました。
そして根底に横たわっているテーマ。
”夢と現実”というのは普遍的なテーマですが、そこに「やりたいこととやれること」という対立軸が設定されていたのが個人的にはとても興味深いところでした。
どんなに努力してもかなわない夢もあります。
けれどもあきらめずに夢を追うのか。
それともあきらめるのか。
いっそのこと目標を変えてしまうという方法もあります。
自分が本当にやりたいことではないけれども目先の収入につながることをやる。
そうして時機を見て本当の夢にもう一度チャレンジするということだってありえます。
この映画の中では明確な答えがメッセージとして描かれているわけではありません。
結果的には「夢がかなってめでたしめでたし」というラストですから。
けれども「努力が報われた時の感動」「ひたすら夢に向かって突き進むことは素晴らしい」というステレオタイプな価値観を考え直すきっかけを与えてくれる映画だったんじゃないかなと思います。