『舟を編む』は小説家・エッセイストの三浦しをんさんの小説です。
2009年から2011年にかけて雑誌「CLASSSY.」に連載され、2011年9月16日に単行本が発売されました。
2012年の本屋大賞を受賞して注目され、2013年4月13日に実写映画が公開。
2016年にはテレビアニメがフジテレビで放映されています。
『舟を編む』を配信している動画配信サービス(ビデオ・オン・デマンド)一覧
『舟を編む』を鑑賞できる動画配信サービスの一覧です。
hulu、U-NEXT、dTV、FOD、Paravi、ビデオマーケット(VM)、Amazonプライム・ビデオ、Netflixそれぞれ動画視聴可能なものに印をつけてあります。
◎は見放題、〇はPPV(ペイ・パー・ビュー)です。
見放題は月額料金だけで好きなだけ視聴ができます。
PPVは月額料金とは別に視聴作品ごとに料金が必要で、期間限定のレンタルです。
映画 | テレビアニメ | |
---|---|---|
作品名 | 舟を編む | 舟を編む |
公開日/放送日 | 2010年6月5日 | 2016年10月 - 12月 |
監督 | 石井裕也 | 黒柳トシマサ |
脚本 | 渡辺謙作 | |
主演 | 松田龍平 | |
配給/放送 | 松竹 アスミック・エース | フジテレビ |
hulu | - | - |
U-NEXT | ◎ | - |
dTV | ◎ | - |
ビデオパス | ◎ | - |
FOD | ◎ | ◎ |
Paravi | - | - |
VM | 〇432円 | 〇250円/話 |
Amazon | ◎ | ◎ |
Netflix | ◎ | - |
2019年1月7日現在の情報です。
配信状況が変わっていることもありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
『舟を編む』の見どころと感想
『舟を編む』は辞書の編纂を描いた物語です。
この作品のおもしろさとして辞書の編纂というふだん見ることのない世界を垣間見るという点があります。
辞書を作ることは膨大な地道な作業の積み重ねで、1冊の辞典を完成させるには何十年もの歳月がかかります。
だいたい辞書って引くことすら面倒ですよね。
子供のころに分からない言葉や単語があったときに「辞書を引きなさい」と先生に言われて嫌々辞書をめくっていたという人も多いんではないでしょうか。
そんな辞書を0から作る作業って、想像してみると本当に気が遠くなります。
何十万語という見出し語があって、それの一つ一つに語釈を考えて書いていかなければいけません。
言葉の意味っていざ書こうとするとすごく難しいです。
作品の中では「『右』という言葉の意味はどうやって説明する?」という話が出てきますが、「右は・・・右だよ」とか「右は・・・コッチ側のことだよ」としか言いようがないですよね。
言葉は日々新しく生まれてくるものです。
「用例採集」と言って合コンやファーストフード店へ行って新しい若者言葉を集めるなんて言うシーンも出てきます。
そうして何十万語という単語の解説をすべて書き終えても、さらに膨大な校正作業が待っています。
些細な誤植・間違いも許されない辞書なので、他の印刷物と比べて校正も何回も繰り返されます。
辞書のあの字が細かくて決しておもしろいとは言えない文章の一字一句をチェックしていかなきゃいけません。
細かい作業や単純な繰り返し作業が苦手な人には気が狂いそうなほどつらい作業に違いありません。
そんな苦労を乗り越えて辞書を完成させたときの達成感はひとしおでしょう。
そうした地道な辞書編纂作業を丁寧に描写しているのが『舟を編む』です。
地味でお堅い雰囲気の世界のはずですが、ユーモアとまったりした心地よさで物語が進んでいくので楽しく見ることができます。
主人公は松田龍平さんが演じる「馬締光也」です。
大学で言語学を研究していたものの人とのコミュニケーション能力に難があって、営業職として致命的に仕事ができないでいます。
そんな馬締を新辞書「大渡海」の編集担当で間もなく定年を迎える荒木は自分の後継として引き抜きます。
地味な辞書編纂事業ですがやりがいを感じた馬締は一心にひたむきに取り組みます。
自分の適性に合った職業につけているかどうかというのは人生の幸福に大きく影響するというのをこの作品では強く表現しています。
この作品を見終わったころには馬締のことをとっても羨ましくなります。
好きな仕事にのめりこめるっていうのは幸せなことですよね。
しかも奥さんは宮崎あおいちゃんですしね。
辞書の編纂作業を行っている十数年というのは売り上げが上がっていない状態です。
なんてったってまだ商品を作ってる最中なんですからね。
辞書が完成してそれまでの経費分を売り上げた後にやっと利益がでてくるわけですから、商売という観点から考えるとまったく割に合いません。
だから辞書編纂作業というのは目先の利益を追わなくても大丈夫な事業体でなければ絶対にできません。
欧米では公共事業として辞書がつくられることも多いようです。
日本では基本的に出版社が作ります。
おそらく出版社にとっても辞書は手間もお金もかかる採算性の低い事業でしょう。
けれども裏を返せば辞書を出版できるということはそれだけ力のある企業であるという証明になります。
これが出版社が採算度外視で辞書事業を手掛ける理由ですが、経営が厳しくなれば縮小せざるを得ません。
最近では電子辞書はもちろんスマホでも言葉を調べることは簡単になりましたので、紙の辞書を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。
けれども目で見るだけではなくて紙の手触り、臭いも含めて五感で言葉を感じ取れる辞書の役割はデジタル機器では代えがたいものがあります。
ヒロインの宮崎あおいさんは林香具矢を演じています。
香具矢は馬締の下宿先の孫娘で、板前として働いており後には小料理店を営みます。
この小料理店の清楚な雰囲気が雑多な編集部とのコントラストで画面を引き締めています。